SUPER VINTAGEでは、北欧を中心としたプレステージヴィンテージ家具、日本の有田からは美術調度品、フランス・パリからはデヴィッド・リンチ氏のオリジナル石版画と、幅広いアイテムを取り扱っております。





今回もその数あるアイテムの中から、注目を集めているアイテムをご紹介いたします。




1つ目にご紹介するのは、ハンス・J・ウェグナーがデザインしたModel:FH4283、通称チェイナチェア。



 

 

チャイナチェアは1943年にデザインされ、フリッツ・ハンセンによって製造されました。



チャイナチェア背もたれの独特なデザインは、ウェグナーが当時読んでいた本の中から見つけた18世紀の中国の椅子「圏椅(クワン・イ)」のデザインに影響を受けたことがきっかけとなっており、

 

その当時腹筋や背筋を使わなくても楽に座ることができるチェアを研究していたウェグナーは、人間工学的な面からもクワン・イのS字を描いた独特な背もたれの形状が人の背骨の形にフィットすることに気がつき、デザインに取り入れたと言われています。



 

 

この当時、背骨の曲線に沿って背中を支えてくれるようなデザインのチェアはまだ一般的ではなく、ウェグナーのデザインは革新的なものであったと言えるでしょう。




 

古代中国のデザインを現代的に解釈し、造形美を兼ね備えたこのチェアは、ウェグナーの木工職人としての才能と表現力の豊かさ、創造力の素晴らしさを表しており、後の北欧家具の名作「Yチェア」や「ザ・チェア」の原点となる重要な作品とされています。





チャイナチェアは、実はデザインされた1943年から現在に至るまで、細かなデザイン変更がされており、全部で9種類のモデルがあると言われています。



 

 

初期モデルのFH4283は、笠木を曲げ技ではなくチェリー無垢材を曲線に削り出してフィンガージョイントで組んであるのが特徴です。1945年以降は、削り出しではなく曲げ枝によってその形状が作り出されています。


笠木を支えている支え木も、初期のモデルはは6本であったのに対して、1945年以降は4本に変更されています。

 



硬度の高いチェリー無垢材を滑らかで細い曲線に削り出すことは容易ではなく、この初期のモデルはわずか2年の期間しか製作がされなかった貴重なアイテムです。







 

 

 

2つ目にご紹介するのは、アルネ・ヤコブセンがデザインしたModel:FH3100、通称アントチェア。(アリンコチェア)

 

 




アントチェアは1952年に誕生し、同年にヤコブセンが建築した製薬会社、「Novo Nordisk A/S(ノボノルディスク社)」の社員食堂のためにデザインされ、フリッツ・ハンセンによって製作されました。


 






プライウッドも当初より容易にこの薄さを実現できたわけではなく、研究段階では薄さを出すことによってひび割れや歪みは生じやすくなってしまっていたため、そうした箇所を削り取っていくうちにこの蟻のような形に最終的にたどり着いたと言われています。


 

 


アントチェアはあまりにも前衛的なデザインであったことから、製造元であるフリッツ・ハンセン社からも当初は製作・販売に対して懐疑的な声が上がっていました。


 

しかし、アントチェアに強い情熱を持っていたヤコブセンが、もし売れ残ったら自分が全部買い取るからとりあえず製作して欲しい、と話したことから製作が実現したそうです。





 

アントチェアは世界で初めて実現された、背と座を一体にした構造のチェアであることでも有名ですね。それまでのチェアは背と座が分かれていることが当然であったため、このデザインが誕生した時はいかに世間が衝撃を受けたかが容易に想像できます。常識を打ち破り美を追求する、ヤコブセンの想像力がいかに排他的で秀でたものであるかがこの逸話からも伺えます。




どちらも当時当たり前とされていたデザインの常識を打ち破った革新的、歴史的なチェアです。


ぜひ皆様、コンシェルジュルームにてその魅力を直接ご堪能ください。

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