今回のブログでは2人のデンマーク人デザイナー、Peter Hvidt(ピーター・ヴィッツ)とOrla Molgaard Nielsen(オルラ・ムルガード・ニールセン)が共作でデザインをしたソファと、2人の経歴についてご紹介いたします。
こちらのソファは1950年代にデザインされたとされており、反り上がった美しいアーム先端の曲線が特徴的なソファです。
全体的にはすっきりとしたデザインで、座面は広くゆったりとした座り心地。
シンプルだからこそ、素材本来の持つ上質さと、滑らかに削り出された無垢材の細部のデザインが際立つ、洗練されたソファです。
本ソファのデザイナーの一人であるピーター・ヴィッツは1916年にコペンハーゲンでデンマークの裁判所の長官の息子として生まれました。
ヴィッツはコペンハーゲンで幼少期を過ごし、市内の工芸学校に進んだのち程なくして1942年に自身の設計事務所を設立します。
(画像左: ピーター・ヴィッツ /画像右:オルラ・ムルガード・ニールセン)
もう一人のデザイナー、オルラ・ムルガード・ニールセンは1907年にデンマークの4 番目に大きな都市オールボーで生まれました。
のちにデンマーク王立芸術アカデミー (1931–1934) でコーア・クリントの下で家具デザインを学びます。
ピーターとムルガードは出会って間もなくして、家具と建築の両方の仕事を引き受けられるようにと1944年にHvidt&Molgaard社を設立し、事務所を開設しました。
以来30年間、2人は共同で家具だけではなく、装飾や建築の分野でも活躍を見せました。
彼らは主に輸出用・工業用家具のデザインをしていたことで有名ですが、彼らが見出したこの分野での功績は単にデザインの領域を広げたことだけでなく、デザインに関わる製造や販売にまで関わったことであると言われています。
自身がデザインした家具に対して、製造の工程や販売までこだわりを持って人へ届けるその姿勢からは彼らの家具にかける熱い情熱と真摯な人柄が感じられますね。
また、2人はコペンハーゲンの家具職人組合が主催する「コペンハーゲン家具職人ギルド展示会」に、さまざまなキャビネットメーカーと精力的に出展したことでも知られています。
本ソファの製造元でもあるSoborg Mobler (ソボー・モブラー)も、同展示会に幾度となく参加し、数々の名作を生み出してきた、デンマークデザインの中心に位置した家具メーカーです。
ピーター・ヴィッツ&オルラ・ムルガード・ニールセン以外にも、ボーエ・モーエンセンやハンス・J・ウェグナー、フィン・ユールなど、名だたるデザイナーと家具を共に製作してきました。
そんな家具にかける熱い情熱を持つ2人と、高い技術力を持つメーカーが共作したソファ。
ぜひ皆様一度その座り心地を確かめにいらしてください。