今回のブログでは、ボーエ・モーエンセンの作品の中でもベストセラーの一つと言える、チェア Model: J39についてご紹介いたします。





 

 

J39は、通称「The People’s Chair(ピープルズチェア=みんなの椅子)/シェーカーチェア」という愛称で広く知られています。




言わずと知れた、長年親しまれているベストセラーチェアとなっており、発表されて以来一度も生産を中止することなく作り続けられているまさにモーエンセンの代表作といえる椅子です。



 

愛称の一つである「シェーカーチェア」という名前は、18~19世紀頃、イギリスから渡米したシェーカー教徒たちが作っていたシェーカー家具にインスピレーションを受けてモーエンセンがデザインをしたことがその由来となっています。




 

シェーカー家具はアメリカ北東部の木工品とされ、コロニアル様式を単純化したものでした。シェーカー教徒はそこから更に装飾を除き、機能性や耐久性を向上させ簡素でありながら丈夫で長持ちする家具を作り上げたのです。



 

 

シンプルで実用的な家具は、質素、勤勉、禁欲を美徳とするシェーカー教徒たちだからこそ生み出すことのできた、洗練された美しさを備えています。

 

そこには、家具だけでなく建築や服飾等を含めた暮らし全体の調和を目指す、彼ら独特の生活様式も影響していると言われています。

 

 

 

 

モーエンセンの「シンプルかつ実用的な家具によって庶民の生活を豊かにする」という信念と合致するシェーカー家具がJ39のインスピレーションとなったことも、この話を聞くと容易に納得できますね。



 

余談にはなりますが、シェーカー教徒の「シェーカー」という名称の由来は、彼らが集会で礼拝をする際に、高揚した信徒が震えたり、踊ったり、不可思議な言語で話したりすることに由来していると言われています。

こうした小話を聞くとその家具の見方がまた少し変わってより興味が湧きますね。



 

 

さらにモーエンセンは、当時流行していた輸入素材を使わず、豊富に取ることができるビーチ材やオーク材を使用し、さらに直線的な木材を使用することで加工の手間を省きコストカットを行うことで、手に届きやすいリーズナブルな価格帯を実現しました。

 

 

 

 

座面はペーパーコードで丁寧に編まれており、適度にしなり身体を受け止めてくれます。


流行に左右されない、飾らないデザインを得意とする彼の方向性はこのチェアにもよく現れており、彼のブレない信念とこだわりを感じます。



70年以上製作され続けている、名作の座り心地をぜひお楽しみください。

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