今回のブログでは、デンマークを代表するデザイナーの一人、カイ・クリスチャンセンについてご紹介します。



カイ・クリスチャンセンは1929年に生まれたデンマークのデザイナーです。

 

 

 

クリスチャンセンは1947年に家具製造の見習い修行期間を終えたあと、1948年から1951年までコペンハーゲンにあるデンマーク王立芸術アカデミーにてコーア・クリントに師事し、家具のデザインについて本格的に学び始めました。

 

 

彼は入学前に培った優れた職人技と、クリントの薫陶による革新的で人間中心のデザインを貪欲に取り入れ、卒業後も様々なデザイナーの元で経験を積むこととなります。





しかし、クリントのデザイン哲学は古典的・伝統的な家具の形と技術からインスピレーションを得ていた一方で、クリスチャンセンはデザインに対してより進歩的な、人間工学からのアプローチも重視していました。



人間工学とは、機械・装置や人間の作業環境を、人間の使い勝手のよさに合うように設計・調整するための学問のことであり、人がより自然に・無理なく・効率的にそのものを扱えるよう最適化して設計・意匠・デザインをすることをクリスチャンセンは常に念頭に置いていたのです。






その後、1955年にわずか26歳という若さでクリスチャンセンは自分のデザインショップを開設し、デンマークのモダンスタイルとして知られるようになる「美しいラインと形状、機能の完璧なバランスによって構成される」家具を作り始めます。


このころ、IKEAの為に、「トロイカ」というシャープなアームチェアをデザインしていることも有名ですね。




1956年に彼のキャリアで最も重要な作品の一つであるダイニングアームチェアmodel.42、通称「Zチェア」を設計しました。その斬新なデザインと印象的なライン。一流の職人技が光るこの作品は、どの方向から見ても本当に美しいことがわかります。



系列店:TOKYO APARTMENT STORE販売 カイ・クリスチャンセン「Zチェア」

 

Zチェアはチーク材フレームのモダンなシルエットと、短めなアームの肘掛がテーブルに収まり易く、またデザイン上のアクセントにもなっています。背もたれは可動式になっており座る人の背中に合わせて動くので、長時間快適に座ることができます。


まさに家具職人として長い年月経験を積んだ彼だからこそ辿り着くことのできた、素材の美しさと人間が使用した際の心地よさの双方を完璧に叶えた名作と言えるでしょう。


ZチェアはSUPER VINTAGEの系列店、TOKYO APARTMENT STOREにて販売しておりますので、ご興味のある方はぜひチェックされてみてください。







クリスチャンセンの他のダイニングチェアには、Schou Andersen(スコウ・アンデルセン)用に設計された豪華なモデル31(NV31)のように洗練されたデザインのものが多く見られます。

 

Model. NV31チェア

 

スコウ・アンデルセンとは、デンマークの家具メーカーであり、ペダー・スコウが1919年に家具店を開いたことがその始まりです。以降4世代に渡り受け継がれており、1960年代当時にはデンマーク家具の全盛期でダイニング家具製作の主要なメーカーの1つになりました。

 

こちらのチェアについては、次回のブログで詳しくご紹介いたします。




また、チェア以外でクリスチャンセンの特徴がよく見られる家具の一つにはチェストが挙げられます。彼がデザインするチェストは取っ手部分がノッカーのような形をしており、細い脚部との絶妙なバランスで構成されています。

 

 

上記以外にもデスク丸型の引き出しを備えたデスク、ラウンドテーブル、サイドボード、ウオールユニットなど多くの作品を今日に至るまで生み出し続けています。



クリスチャンセンは、自身が多作のデザイナーであるだけでなく、同時代の人々の作品を支援することにも力を入れていました。 彼は1956年から1965年まで地域家具の見本市を開催し、1966年から1970年までのスカンジナビア家具見本市の共催者としてデザイナーの交流に尽力しました。

 

 

クリスチャンセンのデザインは美しさと実用性を備えているため今日でも非常に人気があり、特にチーク材やローズウッドで出来た作品はヴィンテージでのみ触れることができる貴重なアイテムです。




彼の家具に対してのデザインポリシーを示す有名な言葉は「見た目の美しさ、使いやすさ、人間工学に基づいていること、経済的で、環境に配慮していること」。 後進の育成を行いながら人々を魅了しつづけています。


そんな彼の生み出した名作家具の一部を、次回のブログではお届けいたします。

皆様ぜひお楽しみに、お待ちください。

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