前回のブログではハンス・J・ウェグナーのヒストリーをご紹介しました。
今回は数多くある彼の代表作品の中から、チャイナチェアについてご紹介します。
チャイナチェアは、ウェグナーが当時読んでいた本の中から見つけた、18世紀の中国の椅子である「圏椅(クワン・イ)」のデザインに影響を受けたことがきっかけとなり、1943年にデザインされました。
その当時、腹筋や背筋を使わなくても楽に座ることができるチェアを研究していたウェグナーは、人間工学的な面からもクワン・イのS字を描いた独特な背もたれの形状が、人の背骨の形にフィットすることに気がつき、興味を惹かれたのでしょう。
この当時、背骨の曲線に沿って背中を支えてくれるようなデザインのチェアはまだありませんでした。
チャイナチェアは上記のような機能性だけではなく、時代に捕らわれない表情豊かな彫刻的な椅子で、彼の生涯を通しての木の特性やクラフトマンとしての探究心を非常によく表しています。
また、古代中国のデザインを現代的に解釈したこのチェアは、ウェグナーの木工職人としての才能と表現力の豊かさ、彫刻的で機能性を備えた作品の創造力を示しており、後の北欧家具の名作「Yチェア」や「ザ・チェア」の原点となる重要な作品です。
背骨のラインに沿うカーブ以外にも、肘をのせる部分が広くなっていたりなど細部まで工夫が施されています。適度に深さがあるため深く腰掛けたときも、かかとを地面に付けられるので安定感抜群です。
そのためデスクワークや、リラックスタイムのお供にも最適です。
チャイナチェアは、実はデザインされた1943年から現在に至るまで、細かなデザイン変更がされており、全部で9種類のモデルがあると言われています。
初期モデルのFH4283は、笠木を曲げ技ではなくチェリー無垢材を曲線に削り出してフィンガージョイントで組んであるのが特徴です。1945年以降は、削り出しではなく曲げ枝によってその形状が作り出されています。
笠木を支えている支え木も、初期のモデルはは6本であったのに対して、1945年以降は4本に変更されています。
初期のモデルはわずか2年の期間しか製作がされなかった貴重なモデルです。
ぜひ皆様その迫力を当店のコンシェルジュルームにてご覧になってください。