今回のブログでは、フィン・ユールの名作ソファModel : BO46についてご紹介いたします。
ジャン・アルプ(1886-1966・ドイツ/フランス)、ヘンリー・ムーア(1898-1986・イギリス)などの当時を代表する彫刻家・芸術家に影響を受けたユールだからこそ表現できたであろう、40年代のユール作品の特徴でもある彫刻のような有機的で美しいフォルムが特徴的です。
出典:wikipedia (ジャン・アルプ「雲の羊飼い」(1953) )
出典:wikipedia (ヘンリー・ムーア「横たわる像(Reclining Figure)(1951年) )
BO46は1946年にデザインされたソファで、全てのパーツが美しい曲線を描いて構成されており、フィン・ユールの曲線美へのこだわりが随所に感じられます。
ユールのヒストリーについてのお伝えしている前々回のブログの通り、ユールは当時の「正統派」とされていたコーア・クリントが提唱するリ・デザインや数学的アプローチを用いた方法にも対抗意識をもち、クリントとは対照的に固定概念や数学的アプローチに反発するかのように多数の独自の作品を数多く生み出したことで知られています。
実はユールが入学したデンマーク王立芸術アカデミーの建築科では、クリントが家具デザインの教育をメインにおこなっており、クリント派と呼ばれる派閥ができるほどクリントのデザイン力は多くの学生をはじめとする国民から支持されていました。
そのため、当時の王道に逆らい続けたユールのデザインはクリント派や、木工マイスターの一部の人から批判を受けることもしばしばあったそうです。
それでも、ユールは自身の信念を曲げることなく、自分を信じて生涯にわたり独自のやり方を貫いたのです。
そうして独自の作品を生み出し続けたユールは、「空間と家具の彫刻家」として知られており、彼の作品は瞬く間に世界に広がりました。
1945年から55年まではフレデリックスベア工業専門学校でインテリアデザインを教えるといった講師の顔も持っており、自分を信じ続けて周囲からの批判に耳を貸さなかったユールにデザインを学びたいと考える若者が増えていったのでしょう。
インテリアデザインもさることながら、人としての芯の強さや信念など、人間性についても学ぶところの多いデザイナーだとつくづく感じさせられます。
こうしたバックグラウンドを聞くと、ただでさえ魅力的な彼の作品がさらに魅力的に感じられます。
そんなユールがデザインした名作ソファ・BO46、ぜひ皆様一度コンシェルジュルームにて体感しに来てください。